月別アーカイブ: 2025年9月

土地の使用貸借

先日、不動産鑑定士が主催する勉強会に参加してきました。テーマは「使用貸借」について。実際に裁判になった事例です。

父の所有する土地上に、父と長男の共有名義で建物が建っていたところ、父が亡くなり、土地(全て)と父名義分の建物が次男に相続されることに。次男は土地の使用貸借の終了を主張して、長男に対して建物の収去と土地の返還を求めたというものです。

民法では使用貸借の期間が定められていなかった場合、使用及び収益の目的を定めたときは、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する、と定められています。勉強会の裁判事例でも目的に従った使用及び収益が終了したかどうかが争点になっていました。

私の仕事上でも親の土地に家を建てられている方はたまにおられますが、しっかりした契約書を取り交わしている方はほぼいないのではないでしょうか。将来トラブルにならないようにするためには親子間であっても目的や期間は整理して書面にしておいた方が良いのかもしれませんね。

建売住宅購入時の注意点

弊社のお客様は土地購入から注文住宅の建築をお考えの方が多いのですが、たまに建売住宅の購入を検討されているお客様のお手伝いをさせて頂くこともあります。

土地を販売するときは、その後、注文住宅を建築するときに希望の建物が問題なく建築できるのか、といった点について、建築法規や相隣関係など様々な観点から確認するのですが、建売住宅は土地と建物がセットで販売されているため、その土地に建物を建てる時にどういうポイントに注意すれば良いのか、といったことが疎かになっていることが多いように感じます。

例えば擁壁です。横浜など高低差がある地域には擁壁がある土地も多いですが、擁壁の上に建築するときには、その擁壁の安全性に問題がないかを確認する必要があります。安全上支障がないかの判断は難しく、設計士によっても判断が分かれることもあります。つまり建物が建っているから安全とは言い切れない可能性もあるということです。

また、将来にわたっての維持管理も考えておく必要があります。擁壁が崩れて隣地に迷惑をかけてしまったら、所有者の責任になりますし、造り直す費用も高額になります。

その他、道路やライフラインなど様々なチェックポイントがありますので、建売住宅を検討される方は建物ばかりに気を取られず、土地もしっかりとチェックするようにしてくださいね。

市街化調整区域と住宅ローン

私たちが暮らしている街には都市計画法という法律に基づいて、都市計画区域というものが指定されています。都市計画区域は市街化を促進する市街化区域と市街化を抑制する市街化調整区域に分けられます。

住宅地や商業施設が集まった街の中心地などはほぼ市街化区域になります。一方、市街化調整区域は市街化を抑制する区域なので、原則、家を建てたりすることができません。ただし、一定の基準に該当していれば、建築することは可能となります。

市街化調整区域は自然が多く残っているところも多いので、弊社のお客様でも興味を持たれる方はよくいらっしゃいますが、原則は家が建てられない地域のため、金融機関にもよりますが、住宅ローンの利用に一定の制限がかかる場合があります。

金融機関としては、お金を貸した後にやっぱり家が建たない地域だったらマズい話になるので、家が建てられることが確認できた後でないと融資が実行できない場合があるのです。そうなると一般の方にはイメージしづらいかもしれませんが、土地の引渡し期日や建築会社との打ち合わせ期間など色々と調整が必要になってくるわけです。

しっかり把握した上で進めていかないと土地を購入した後に、希望に沿った家づくりができない可能性もでてきますので、市街化調整区域の土地を購入して注文住宅を建築する場合は気を付けてくださいね。