月別アーカイブ: 2023年5月

ローン特約による契約解除

こんにちは。代表の田尻です。

不動産の契約をする際、購入者が住宅ローンを利用される場合は、ローン特約という契約条項を設けます。これは、契約をした後に進める住宅ローンの正式審査の結果、承認が下りなかった場合に契約を解除できるようにするための条項です。

購入者としては、住宅ローンが利用できることを前提に契約を進めるわけですから、住宅ローンの承認が下りなければ買いたくても買えません。それなのに契約違反とするのは酷なので、このような特約を入れて契約するのです。

でも売主の立場からすると一度交わした契約が解除されるのは面白くないですよね。ローン特約に関連した裁判も起こっているようで、契約を解除できるかどうかが争われています。融資の申し込み先が曖昧なまま契約していることが原因となっていることもあるようですので、契約書にはどの金融機関を利用するのかをはっきりさせておいた方が良いと思います。

不動産会社の立場からしても審査申込先はあいまいにしておいた方が都合がいいので、契約書の審査申込先を「都市銀行等」などとあいまいな表現にする会社もありますが、言いなりにならずに利用したい金融機関を指定して契約に臨むようにしてください。

一般法と特別法

こんにちは。代表の田尻です。

法律には一般法と特別法があります。一般法は民法のような広く一般的に適用される法律で特別法とは特定の分野を対象に適用される法律です。同じようなルールがあった場合は特別法が優先されます。

例えば、 民法に建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない(民法第234条)とありますが、建築基準法に防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる (建築基準法第65条)とされています。

どちらも隣地境界線から建物までの距離を定めた法律で、一方は50㎝以上、もう一方は接してOKとなっていますので、矛盾が生じますが、このような場合は特別法である建築基準法が適用されることになります。

上記の例は仕事でも関係する分野なので昔から知っていましたが、商法など他の分野にも似たような話がたくさんあるので、とても紛らわしいです。行政書士の試験勉強中は一般法と特別法の違いに悩まされました…