
こんにちは、アーキプロジェクトの田尻です。
今回は自分の備忘録もかねて令和5年4月に改正された「ライフラインの設置権」のお話です。
この民法改正によって、これまで曖昧だった他の土地にライフラインを設置する権利が明文化されました。これにより他の土地に設備を設置、もしくは他人の設備を使用しなければ自分の土地にライフラインが引き込めない人は、経由する土地、設備の所有者に通知することで引き込むことができるようになりました。
この場合、他の土地に損害が生じた場合には償金を支払う必要があるということも書かれてあります。この償金に関して、法務省の資料に「導管などの設備を地下に設置し、地上の利用自体は制限しないケースでは、損害が認められないことがあると考えられる。他の土地の所有者等から設備の設置を承諾することに対するいわゆる承諾料を求められても、応ずる義務はない」という記載があります。
私が実務に携わっている限りでは、ライフラインを設置しても地上の利用を制限することはほぼ無いと思いますので、承諾料不要と判断されるケースは多いのではないかと思います。とはいえ、揉めてしまうと面倒なことになりますし、近隣との関係でもありますので、慎重に進めるに越したことはありません。
これから土地探しをされる方は、私道や私設管に絡んだ物件にもよく出会うと思いますので、そのような物件を検討される際は参考にして頂ければ幸いです。